
隠れて甘いkissをして
第48章 同じキモチ
「……………」
俺はしばらく声が出なかった。
これだけの男が……
咲原の事で……たった1人の女に逢いに行くだけの事で
こんなにも周りを気にして、動けないでいるなんて………
「……それでも」
俺は静かに言った。
「それでもあいつの事を考えているなら、そんなの気にせずに行けばいいだろ?
俺の元カノから、あんたが咲原を守る所を目の当たりにしたって聞いた。
状況はよく分からねーけど、その時の勢いは何だったんだよ?」
「……………」
タバコを灰皿に潰して
七瀬隼人は俺を真っ直ぐに見た。
「……これ以上
由宇を泣かせたくないんだ」
