
隠れて甘いkissをして
第48章 同じキモチ
「……立花といいます」
運転席の男が何か言う前に、俺は口を開いた。
「この会社で一緒の……咲原由宇の同僚です」
初対面の俺に突然声を掛けられた状況でありながら
その男は、慌てる様子は全くなかった。
帽子を深くかぶりサングラスをしているから、その表情は読み取れない。
ただ、少し離れたこの距離でも感じる半端のないオーラが、俺を全身で威嚇しているかのようだった。
「……………」
少しの沈黙のあと、その男はサングラスを外して言った。
「……乗って。
停まってるより、流してた方が見つかり難いんだ。
少し付き合ってよ」
開かれたドアに手を掛けて、助手席に乗り込む。
………七瀬隼人は
意外にも簡単に、俺を受け入れた。
