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寡黙男子

第2章 はじめの一歩から *学の世界*

平沢さんが何か言っているような気がしたけど雨でよく聞こえない。


それに


俺は自分の部屋が綺麗かの心配と、平沢さんに触れていることのドキドキで、もう訳が分からずひたすら平沢さんを引っ張っていた。


絶対にこの心臓の鼓動は手から平沢さんに伝わっているに違いない。


ダメだ…余計なことを考えずにこれ以上平沢さんを雨で濡れさせないことを考えなくては…


あぁやっと家だ。



「えっ…あのっ…確かに屋根あるけどさすがに人んちのドアの前っていうのは──」


「………入って」


「え?」



鍵を回して扉を開けると平沢さんは何故か固まってしまった。



「こっ、ここ、高橋くんち?」


「そう」



今まで素通りしてたのがバレて引いてるのか…



「………ごめん。でも濡れるから。入って。」


「いやこちらこそ、ごめんっ。びっくりして。」



何で平沢さんが謝るんだ?

不思議に思いながら、俺も平沢さんのあとに続いて中に入った。



「おっ、お邪魔しますっ…」

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