Take me
第16章 16
お母さんだと思っていたこの人が、俺の出生の秘密について全部話をし始めた。
「お父さんと雪子は、結婚していたの。」
「でもね、お父さんと私は浮気してた。」
待って
何を言ってるんだろうこの人は
言葉にならない疑問たち。
「雪子には子どもが出来なかったの。
でもお父さんと私の間には子どもが出来た、それが千晃なのよ?」
この人は話をしながら泣き出した。
なんであんたが泣くの?
更に込み上げる怒り。
「母さんが千晃を産んでから、六年後に雪子との間に赤ん坊が産まれたんだよ。それが紘夢、お前だ。」
代わりに話し出すお父さん
お互いの事、お父さんだとか母さんだとか。
俺にとってこの人は本当の母さんじゃないし、お父さんとも思いたくない人だ。
どこまでも勝手な人達
そう思うことしか出来ない。
「ねぇ、それで?その雪子さんていう、俺のお母さんは?どこにいるの?」
お父さんが続きを話し始めるのを遮って、一番聞きたかった事を質問した。
「雪子は…死んだよ」
とめどなく、溢れる
涙が。
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