Take me
第13章 13
「あ、はは…嘘!嘘だから〜!
本気にしないでよお兄ちゃん?
そ、れじゃ俺たち用事あるから帰って。
あと…
もう此処には来ないで、メールも電話も、
俺にもう関わらないで欲しい…。
じゃあね!」
「ちょ、紘…っ」
俺はお兄ちゃんの背中を無理矢理押して、玄関から追い出した。
振り返れば、いつもと変わらない表情で立つ瑛士
その姿を見た途端に涙が溢れてくる。
「紘夢、おいで」
「瑛、士…っ」
腕を広げる瑛士の胸に飛び込む
もうこれで本当に、すべてが終わった気がした。
なにもかも、
お兄ちゃんと弟という関係さえも。
俺の家族、そのものが。
「…ふぅ、ぇ、お兄ちゃん…大好きだよ…っ」
でも俺の身体に刻み込まれて消えないのは、
やっぱりこの想いだけしかない。
ただ何も言わずに抱き締め、頭を撫でる瑛士の手に
お兄ちゃんを重ねてしまう自分に、自分で息を止めてしまいたくなる
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