Take me
第10章 10
俺は、
どうしたら良いんだろう。
「……紘夢に口止めされてるんだね?
なら仕方ないね。友情を守る良い子だよ瑛士くんは」
「紘夢にそんな友達が居て良かった。
できるだけ、あの子を守って欲しいんだ。
君なら任せられるよ。それじゃ」
「待って下さい。俺じゃ…きっと紘夢を守れない」
千晃さんは俺の頭を優しく撫でてファミレスを出た。
一万円札を置いて。
千晃さん、こんなに要らないよ…
俺は良い子なんかじゃないし、紘夢を守れやしない
だって、傷の事を話すのを躊躇った
今でさえ、紘夢のこと守れなかった。
暴力の事をすべて話してしまえば、それが一番紘夢を守れる方法なのに。
何も言えなかった。
「ほんと、あの兄弟優し過ぎだっつの…」
千晃さんの手、暖かかった。
紘夢と同じ体温。
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