いつまでも、何年経っても切なくて
第14章 恋人じゃない二人
戸が開いた音がしたのでそちらを見ると
響が立っていて久しぶりに目が合った
伝えたいことは沢山あるのに
驚きすぎて、言葉が何も出て来ない
ただ、ただ
涙が溢れるだけだった
響は少し離れた所から
「泣くなよ、バカ莉子」と
聴きたくて仕方なかった声でそう言って
優しく笑った
私は泣き止む所か
子どものように声を上げて泣いた。
響は私とは少し距離を空けて机の上に座った
以前は私を慰めてくれたその胸を
今は貸してもらえない...
この距離が今の私と響の距離なんだと思ったら
悲しくて
悲しくて
涙が止まらなかった
そんな私を響はいつまでも
優しく見つめていた
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