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華のしずく~あなた色に染められて~

第23章 【夕桜~華のしずく~】其の弐~夕桜~

 秀康の容赦ない言葉が帰蝶を打ちのめす。
 あまりの屈辱に、帰蝶は身が震えた。
―このような卑劣な男に触れられるほどなら―。
 喉笛を懐剣でかっ切って、ひとおもいに死んだ方が良い。そう思った。が、その胸中を見透かしたように、秀康はいきなり帰蝶の身体を突き放し、弾みで勢い余って、帰蝶の華奢な身体は前へとつんのめった。

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