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華のしずく~あなた色に染められて~

第23章 【夕桜~華のしずく~】其の弐~夕桜~

「それでもまだ、そなたは白虎の国に帰ると言うか?」
 秀康の嘲るような響きの台詞に、帰蝶はうなだれた。
 確かに、この男の言うとおりなのだ。今更、白虎の国に帰ることはできない。だとすれば―。
 帰蝶の瞳に大粒の涙が滲む。
 自分の取るべき道は、この男の妻になるしかないというのか。暗澹たる想いが胸をよぎる。

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