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華のしずく~あなた色に染められて~

第23章 【夕桜~華のしずく~】其の弐~夕桜~

「少しばかり失礼して、よろしいかな?」
 いかに兄の妻とはいえ、このような時刻に先触れもなしに居室にまで闖入してくるとは不躾な―、帰蝶は思わず眉をひそめ、眼の前の若い男を見つめた。線の細い優男の印象が強かった秀継に比べて、上背もぐっと大きく、どちらかといえば在りし日の秀吉の風貌を持っているのは、この秀康の方であった。 

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