
華のしずく~あなた色に染められて~
第22章 【夕桜~華のしずく~】其の壱~飛花~
その周囲を威圧し、何者をもひれ伏させずにはおれないほどの存在感は、まさに動乱の世を平らげ天下の最高位まで昇りつめた彼ならではのものに違いなかった。
「蒼き龍―」
兵の一人がうわ言のように呟いた。若き頃、度重なる戦で勝利を上げ負け知らずの猛者であった秀吉は〝蒼き龍〟と呼ばれ怖れられていたのだ。その時、放心したように秀吉を見つめる若い兵は、確かに秀吉の背後に蒼い龍を見た。やがて、その龍は秀吉と一体となり、秀吉その人が青龍となって兵の眼に映じる。
「蒼き龍―」
兵の一人がうわ言のように呟いた。若き頃、度重なる戦で勝利を上げ負け知らずの猛者であった秀吉は〝蒼き龍〟と呼ばれ怖れられていたのだ。その時、放心したように秀吉を見つめる若い兵は、確かに秀吉の背後に蒼い龍を見た。やがて、その龍は秀吉と一体となり、秀吉その人が青龍となって兵の眼に映じる。
