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華のしずく~あなた色に染められて~

第3章 【華のしずく】~夏雷~

 その夜を境として、珠々は信成と心と心が通じ合い、真に結ばれたような気がした。もっとも、抱かれている最中に、しかも温泉の中で失神するとは、何とも外聞も悪く恥ずかしいことではあったけれど―。
 温泉での思いがけぬ出来事から数日後。
 珠々は信成と二人で天守に上っていた。藍色の夜空には縫い止められかのような星星が煌めき、輝く月が宿っている。今宵の月は半月であった。

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