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華のしずく~あなた色に染められて~

第30章 【剣(KEN)~華のしずく~】 闇に喚ばれし者

 また辺りが明るくなった。月が現れたのだ。しかし、その月は不吉なまでに赤かった。そう、まるで、横たわる浅太の胸から流れ出る血の色のようだ。
 浅太を刺した刹那、剣は光を失い、どす黒く変貌する。龍伍は愕いて自分の手許を見た。今や刀身は真っ黒と化している。あれほど光り輝いていた刀は、邪悪なものに閉ざされた闇の色に塗り込められていた。
 既に夜空を翔る龍も消えている。刀を染める闇はどんどん濃くなってゆく。

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