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華のしずく~あなた色に染められて~

第27章 【月華-月姫(TSUKIHI)-~華のしずく~】幻の蝶

 千手丸は普段から秀信の訪れを楽しみにしている。離れて暮らす父子の間柄だからこそ、余計に父を慕う心が増すのだろう。漸く三歳になったばかりの千手丸には、大人たちの事情は判らない。
 一度だけ、月姫に幼い彼が訊ねたことがあった。
―母上様、なにゆえ、私たちは父上様と一緒にお城には住めぬのでございますか。

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