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華のしずく~あなた色に染められて~

第27章 【月華-月姫(TSUKIHI)-~華のしずく~】幻の蝶

 千手丸が漸く三歳になったある日のこと、幼い彼の夕餉の膳の汁物の中に銀色に光るものを月姫はめざとく見つけた。丁度、そのときは秀信も同席しており、親子三人水入らずで食事の最中であった。
 月姫はそれを咄嗟に隠そうとしたが、秀信がいち早く見とがめ、月姫から細い針を奪った。
「これは―」
 思わず顔色を変える秀信に、月姫は懸命な面持ちで取りすがった。

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