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華のしずく~あなた色に染められて~

第27章 【月華-月姫(TSUKIHI)-~華のしずく~】幻の蝶

 秀信が月姫をやわらかく夜具の上に押し倒す。二人は再び吹き荒れる春の嵐に呑み込まれていった。
 秀信の月姫への寵愛は日毎に厚くなってゆき、周囲も瞠目するほどのものであった。
 それにつれて、定子の月姫に対する嫌がらせも激しさを増していった。あるときは月姫の通る廊下に蛙の死骸が置いてあったり、夜、秀信と共に眠る床の中に細い縫い針が仕込まれていたり―。

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