テキストサイズ

華のしずく~あなた色に染められて~

第25章 【花屑(はなくず)~華のしずく~】

 寧子は秀吉の養女として十三で時の関白二条通房の嫡子典房に嫁いだ。典房との夫婦仲も睦まじく、その五年後、長女鞠姫、続いて二年後に次女掬姫をあげている。
「どうした、何故、掬姫は泣いていのかな」
 秀継が優しく訊ねると、鞠姫が口をとがらせた。
「私の鞠を欲しいとお掬が駄々をこねるのです」
 生来勝ち気な鞠姫は初対面の秀継を見ても怖がるでもなく、はきはきと物を言っている。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ