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禁断兄妹

第88章 ギフト



「───萌さん、お疲れさまでした」


そっと揺り起こされた感覚に
目を開けた。


「ご気分はどうですか?気持ちの悪さなどはありませんか?」


見上げている先生の顔が
少しづつ
はっきりとしていって

優しい微笑み


「先生‥‥」


ほっと
息をつく。


「ありがとうございました‥‥」


長い長い夢

遠い遠い旅

全てが終わり
清々しい
新しい朝を迎えたような気持ち


「眩暈や吐き気は治まっています‥‥大丈夫です」


それは良かった、と
先生は微笑んで


「萌さん、とてもいいお顔をされていますね」


「ありがとうございます。嬉しいです‥‥」


「ふふ。私も嬉しいですよ」


みんなにも早く
今の私を見せたい



誰よりあなたに
見せたい


「ではソファのほうへ移動しましょうか。ゆっくりと動きましょうね」


先生に背中を抱かれながら身体を起こし
ベッドからソファへ移動して

先生は最初と同じように
私の正面のソファに腰掛けると
しばらくは激しい運動やストレスのかかるような事は避けるように、といった注意事項を話してくれた。


「それと、性的な行為もしばらくは控えたほうがいいですね」


先生はさらりと言ったけれど
ドキッとする。


「あなたは過去の出来事にポジティブで愛のある解釈を与えることができましたし、パートナーとの愛の行為は美しいものですが、今すぐでは心身に負担がかかるかも知れません。
 しばらくは様子を見て、問題がないようなら、少しづつステップを踏んでいくといいでしょう」


「は、はい」


「具体的に言うと、パートナーに近づく、触れる、キスをする、セックスをする‥‥これらは時間をかけて、スモールステップを積み重ねるようにしてください。事を急ぐと、性に対する恐怖感や嫌悪感が蘇ってしまう可能性がありますから。
 自分の心身の様子をしっかり見て、感じてあげてください。自分の心身と対話をしながら進むようにしてくださいね」

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