禁断兄妹
第81章 つがいの鳥③
「あなたが神楽に嫁いでいるメリットも、今はもう一つもない。
当時は海川会での勢力図上、霧島と神楽の結束が固くなることには十分なメリットがあった。しかしこの七年の間に、霧島は本部との繋がりを強め、勢力範囲を広げ、経済力も組織力も完全に神楽を上回った。いずれ神楽は霧島の傘下に入るか吸収されるでしょう。
子供もできず、束縛されてろくな自由も与えられないあなたが、これ以上神楽にいる意味はない」
獰猛な力を秘めた低い声が
淡々と続く。
「神楽で無駄死にしてはいけない。会長が仰るように、今日このまま霧島に残ったほうがいい」
私が黙っていると
更に身を乗り出した修斗
術をかけるように
私を強く見つめて
囁く
「イエスと言いなさい、嬢。
あなたの魂を食い散らかした神楽に、もう用はない」
修斗
冷ややかな瞳の奥に
燃え盛る炎
揺るぎない自信
弱者を食らい
蹴落とし続け
その全ての命と力を
我が物にしてきた男
あんたはどこまで行くんだろう
そして
私は
「‥‥私は神楽に帰るわ。あそこが私の家なの」
修斗の形の良い眉が
びくりと震え
強く寄せられた。
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