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禁断兄妹

第67章 罪と罰②


一ノ瀬柊には

その言い方に
胸の中
何かがズクンと反応した。


───柊兄は無事だ。柊兄はね───


「‥‥柊君以外の人に‥‥」


無意識に発した自分の言葉に
自分で驚愕する

見開いた目の奥
火花が散るような
衝撃


「修斗まさか‥‥」


「はい」


そう言えば和虎君は
柊君と一緒に病院にいると
言っていた

モエがあんな目に、って

もしか
して


「修斗あんた‥‥モエに何かしたの‥‥?」


「俺の気が済むようにしただけです」


間に合わなかった


凍りついた身体が
突き飛ばされて

闇の中へと
堕ちていく


「モエに何をしたの‥‥」


答えずに
煙草に火をつける



「怪我をさせたのね‥‥?」


「だったらどうなんです」


表情ひとつ変わらない

煙を
うるさそうに
吐き出してるのが

見える


「許さなければいいと言ったはずです。目付役も降りると───」


「もういいわ‥‥」


「‥‥」


「もういい」


震える指で
電話を切った。


───カシラを鬼に変えたのは、誰なんでしょう?───


手の中の携帯が
床に転がって

涙が
落ちた。

次から次へと溢れて
止まらない。


「修斗の奴は女の扱いが下手だな。泣かせるとやっかいだってのに」


私の頭をくしゃくしゃと撫でた手が
床の携帯を拾い上げた。


「会長、嬢に私の携帯をお貸ししたほうがいいでしょうか」


「いやいい。もう縁のない奴らと話す必要はないだろう」


「かしこまりました」


そして
檻の閉まる音が
聞こえた。

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