禁断兄妹
第63章 聖戦
このルックを終えたら帰れる
そう思ったら
多少の安堵を感じたけれど
何かがつかえているような息苦しさは
変わらない。
父さんのことも
萌のことも
腹を決めたはずなのに───
「一ノ瀬君、GOっ」
その声に
現実に引き戻された俺は
瞬時に弓を引き
全身の神経を研ぎ澄ますと
ステージへ飛び出した。
このルックが
俺にとっては今日のラスト
思いきり盛り上げてくれと
さっきプレスから言われたこともあって
俺はフロアの一人一人を煽っていくつもりで
ランウェイを進んだ。
かかってこい
さあ
仕留めにこい
首は
ここにある
過激な歌詞と
疾走感溢れる曲調そのままに
一人一人へ挑むような視線を送り
手を伸ばし
吠える。
俺を
俺の着ているこのブランドを
その目に
その胸に
刻め
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