
禁断兄妹
第62章 夢のチカラ・夢のカケラ
週刊誌を閉じると
黙って見ていた和虎が口を開いた。
「‥‥脚色もあるだろうけど、実家が霧島組っていうのは本当らしい。オーナーが由奈に直接確認したって」
「そうか」
俺はバッグから携帯を出した。
「由奈の番号、教えてくれるか」
「え?」
「悪いな。消しちまったから」
女性関係を全て清算した俺の携帯からは
勿論由奈の番号とアドレスも
消してしまっていた。
和虎の前で
由奈の携帯に電話したけど
電源が入っていないというアナウンスが
聞こえるだけ。
「なあ、あいつの実家の番号なんて、知らないか」
「知らないよ」
「だよな」
時計を見ると
四時。
イベントは七時からだが
これからヘアメイク
雑誌の取材も一本入ってるから
動けない
「柊兄、まさか由奈の実家に行こうとか思ってる?」
和虎が
ハッとした声出す。
「今は無理だけど、イベント終わっても連絡つかないなら」
「バカ言わないで!半殺しにされるよ!」
和虎が気色ばむ。
「組の事務所に殴り込みに行く訳じゃない。普通、事務所と家は別だ。
それに、半殺しにするならもうとっくにしてるさ」
ヤクザの情報網は半端じゃないと
聞いたことがある。
「俺と由奈の関係なんてとっくに知ってただろうし、俺のアパートの住所から何から全部知ってるはずだ」
逃げることは不可能だ
別に逃げる気も
ないけど
