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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第6章 伍の巻

 公之は自分では武芸にしか能がないと謙遜しているが、琵琶をたしなみ、しかもこれがなかなかの腕前であった。名手とはいえないまでも、衆に抜きん出ていることは確かである。この日も姿を見せるなり、置いてある琵琶を持ち出してきて、ひとしきりかき鳴らした。

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