
I'll protect you.
第36章 犠牲
その乱れた制服が何も言わない楓から、何があったか安易に予想できた。
こちらに顔を向けて口角を上げる楓
その表情に心臓を鷲掴みされたように苦しくなる。
俺は自分のブレザーを脱いで楓に羽織らせた。
……それしか
お俺にはできなかったから
『……奏斗くんは、
優のなんなの……』
そのまま、教室を出ようとした俺に楓は力なく言葉を発した。
「……さぁ?
楓はユウのなんなの?
本当に友達?」
……本当に仲が良さそうだったのに
どうして、こんなことになったんだ……
それは、ユウのことを友達だと思ってなかったからなのか
楓がわからない
『友達だと思ってた。
でも、どうしても許せなかった。
全てを奪った優が憎かった』
「……話が読めない
楓、ユウがお前に何をし──「楓」
『……ッ!
お兄ちゃん…』
……嘘だろ
「……お前、優の」
そーゆうことか
「藤宮先輩
実の妹にもこんなことやってたんですか?」
楓と藤宮 淳の関係
メガネ君が楓を挑発するなと言った理由
この二人が本当の兄妹だからだ……
