
I'll protect you.
第31章 近い⇔遠い
教室に戻ると楓が一目散に駆け寄ってきて、この行動も一週間続けば慣れたもんだ
『心くん、今日は……?』
そんな楓に私は首を横に振った
『……そっか』
楓は肩をガクッと落として自分の席についた
私達は特に何か話すわけでもなく、ただ黙々とお弁当を食べ続けた
楓は何も言ってこない
あの日、シン君とあったこと
シン君への想い
楓とシン君の関係
何一つ教えてくれることはなかった
1番手っ取り早いのは私が聞くことなんだろうけど…
そんな勇気はなくて
付き合ってる って言われるのが怖いだけ……
本当ヘタレだ……
『はぁ…』
すると……
廊下がガヤガヤと騒ぎ出して、友達同士が話してるのも聞こえないくらいにうるさい
何よ…このお祭り騒ぎは…
その騒ぎ声は次第に1番端にあるF組の前まできた
…ガラッ
「……久しぶり」
