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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第2章 壱

 この小さな絵蝋燭屋に縁(ゆかり)の者であることは容易に想像できたが、果たして、雇われた者なのか縁者なのかまでは判らない。突如として店先に座るようになったところを見ると、ここの娘というわけでもなさそうだ。この店は聞くところによれば、四十過ぎの亭主とその女房が二人だけでやっている小さな絵蝋燭屋ということだ。夫婦の娘といえば、丁度年頃もそのようではあったが、この夫婦に娘がいるとは聞いたことはなかった。

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