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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第2章 壱

 運命の瞬間が訪れたのは、更にその半年余り後である。年が明けたある日、嘉門がやはり道場からの帰りにそこを通りかかると、見たこともない美しい娘が座っていた。
―この娘だ!!
 何故か、その時、嘉門は瞬時に悟った。
 娘と話したこともないのに、嘉門は自分に傘と手ぬぐいを貸してくれたのが、この娘だと悟ったのである。それは殆ど勘ではあったけれど、嘉門には確信めいたものがあった。

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