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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

「お都弥!」
 今にも消えようとするお都弥を現世(うつしよ)に繋ぎ止めようとするかのように、大声で名を呼ぶ。
 昔から言霊(ことだま)には霊力、不思議な力が宿っているというから、その力で愛する女の魂を永遠に縛り、自分の許に繋ぎ止め、とどめておきたいと本気で考えてしまった。
「はい」
 お都弥は嘉門の心など知らぬげに、婉然と微笑んでいる。

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