近くて甘い
第39章 言葉と想いと…
「まだっ、自分の気持ちが分からなくてっ…」
「なるほど、分からないまま、俺のプロポーズに答えたのか」
「っ……それはっ…」
片眉を上げ、光瑠さんは私を壁に追いやるよう手をつく。
本当に…
やっと仲直りしたのに…
私はとんだミスをしでかした…。
でも、待ってっ…
なんか私ばかりが責められているのはおかしいっ…!
「…光瑠さんだって私のことどう思ってるか言わないままプロポーズしてきたじゃないですか!」
ビクンと光瑠さんの眉が動く。
明らかに動揺した仕草だ。
「言わなくても分かるだろっ!」
「分かりませんよっ!だって私がここに来たのは元はと言えば…」
私が…
光瑠さんの亡くなった以前の婚約者に……悠月さんに似ていて
光瑠さんが三千万円とお母さんの治療を引き換えに
私を買ったからだ。
辛くなって、
私は言葉を中途半端にやめた。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える