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「なんだ、どうかしたか。」



口元が緩んでいる要を見て、酒田は顔をしかめた。



「……真希さんがいらっしゃったんですか？」


「ん？いや、見てないが、来てるのか？」



一段と顔を明るくさせた要を見て、口元が緩んでいた理由は他にあったようだと酒田は勘ぐる。



「あぁ、いえ…。
それより、社長がプロジェクトのことで関根さんを呼んでます」


「プロジェクト…ああ、espoir(エスポワール)か？」


「Oui！〈ええ！〉」



フランス語で返事をした酒田にフッと要が笑う。



「Je viens.〈すぐ行くよ〉」



同じくフランス語で返した要に酒田は微笑んで、二人は会議室に向かった。