残業・メモ子
第76章 手帳
「……芽依子―――…
メモ帳…俺に…くれないか?」
……大島は…ベンチに座る私の前に立ち―――――…
手を差し出す―――――
「…もう―――――…
メモする必要……無いだろ?
愛する感覚…求める感覚…
少しだけでも―――…
解って…来たから―――…」
トクン…と…隣に座る…藤原に意識が向く――――…
不意に…
胸の奥が―――…熱くなる…
「…俺には…まだ…
メモ帳が―――必要だし…」
大島の…差し出す指が…
フルフルと…
震えていた―――…
寒さだけではない――――…
きっと…
嘘をついていたから―――…
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