
残業・メモ子
第65章 悩唇
俺は…芽依子の事が…見れなかった―――――――…
酔っていた…
だからこそ……素直な感想だと……
残酷な…反応だと………
見抜けなかった自分に…
キスを避けなかった自分に…
腹が立った――――――…
と…同時に……
情けなくて……こんな顔…
芽依子には…見られたくなかった―――――――…
欲張った…罰が…当たったんだ…
大島の応援をするって…言っていたのに…
俺は…振り返ることなく…アパートの玄関を出て……
外のドアに…寄り掛かり…
頭を抱えた……
俺も…芽依子も…
酔っていたんだ――――…
忘れてくれ――――――…
芽依子…
泣き止むまで…
ここにいるから―――――――…
忘れてくれ……
「……クソ…
俺は……忘れられねーよ…」
唇が……
芽依子を………
記憶してしまった―――――…
