君に恋した冬
第21章 家族
ピンポーン
あ、アキラだ…!
嬉しくなって玄関まで走って扉を開けると
予想通りアキラがコンビニの袋を片手に
少しムスッとした顔で立っていた
「走るなって言っただろ」
『もう大丈夫だよ。痛くないもの』
いつまでも帝王切開の傷の事を気にかけてくれるアキラの気持ちが、由梨はすごく嬉しかった
『寒かったでしょ。温かいの淹れるね。』
そう言って家の中へと招き入れた。
最初は抵抗があったアキラだったが
幾度か来るうちに、そんな素振りは見せなくなった。
リビングのソファーに腰掛けながら
「ん」
買ってきた袋を由梨に差し出した。
『何?…わぁ!肉まんだ!』
「冬はこれだろ。やっぱ。」
『ありがとう!』
もう季節は12月の終わり頃。
明日はクリスマスイブだった。
アキラに出会ったあの日が訪れるのは、もう2回目になる。
『あっという間だったな…』
キッチンで緑茶を淹れながら
由梨はボソッと呟いた。
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