君に恋した冬
第20章 真実に辿り着いて…
それから何時間経ったかわからないけれど
二人で寄り添って座りながら
小さな身体で必死に生きている未来を見ていた
そんな二人に看護士は申し訳なさそうに
「すみません。今から会議がありますので
一度退室していただかないといけないんですけど…」
「わかりました。由梨、行くぞ」
由梨の身体を労るように支えながら立たせ
看護士に小さく一礼して部屋をあとにした
共有スペースで腰を下ろして
しばらく沈黙が漂っていたが、アキラが意を決した様に顔を上げた
「…名前…もう決めた?」
この子の将来を願って…
アキラとの将来を願って…
『うん…一応。未来って…』
それを聞いてアキラは今までに見たことのない笑顔で
「……いい名前だな」
トクン…と胸が高鳴った
こんな表情も出来るのね…
これが、【お父さん】の顔なのかな…
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