君に恋した冬
第15章 交差する思い
ドサッ
思わず持っていたスクール鞄を地面に落としてしまう
今…何て…
恭介はまだ由梨の頬に触れたまま
真っ直ぐこちらを見据えている
ドキン…ドキン…
普段見ない真剣な顔の恭介は、本当に男らしくて、でも繊細なタッチの美形だった
心臓が鳴り止まない
冗談を言っている目ではないことは
由梨にも充分伝わっていた
『あ…の…』
「返事は急がなくていい」
『え…!でも…っ』
恭介は落としてしまった由梨の鞄を拾い上げ
「行くぞ」
と一言素っ気なく言ってスタスタと歩き出す
『あ、待って…!』
慌ててその後を追いかけながらも由梨の心臓が鳴り止むことはなかった
そのまま終始無言で由梨の自宅まで送ってもらい
「じゃあな」と素っ気なく言って恭介は帰って行った
送ってもらったのに、お礼言いそびれちゃったな…
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