君に恋した冬
第8章 乱れる関係
急いで玄関に行きドアを開ける
『どうしたの、大智くんっ』
極めて普通にしようと試みるも、大智の様子はそれを許すものではなかった
「電話、出ろよ」
『あ…ごめんなさい。気付かなくて…』
咄嗟に嘘をついてしまう。
少し怯える由梨に尚も大智は続ける。
「昨日はどこに行ってた」
『え…?』
どうして…家に居なかったことを知ってる…?
「答えろよ!!!」
ガンッと大智がドアを蹴る衝撃音が鳴ると共に、由梨の身体も反応し、思わず後ずさる
怖い…どうしよう…
何も言えずに少しずつ後ずさるが、大智もその分距離を詰める
ついには玄関に尻餅をつく形で座り、パタン…と静かに扉の閉まる音がする
目の前には感情の読めない顔をした大智
言いしれぬ恐怖に小刻みに身体は震え、声が出ない
「さっきの誰だよ」
『…!』
見られていたんだ…!
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