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陽だまりの仮面 -嘘-

第5章 キラキラ

そこまで言うと、あたしから離れ自分が座ってた席へ再び座り


「そういう意識が低いから、咄嗟に言葉が出て来ないんです。

しっかり演じてください。
でなきゃ、僕達が今してる恋人ごっこの意味がありません。」


横目であたしをチラ見。

そして、自分が最近いつも読んでる本に視線を移した。


あたしはそんな彼の背中を見つめながら


バクバクの心臓から一変。

チクリと心臓が痛む。




……じゃぁ。


じゃぁ、自分は言えるの?

演技だからって、言えちゃうの?

“好きだから”なんて言葉……。


届く事のない心の声で問い掛ける。


確かに、あの時“好きだから”って言うのが鉄則だったのかもしれない。

花木君にとっては。


だけど……。


私と花木君は、違うもん。

そんな軽々しく“好きだから”なんて言えない。


花木君にだけは、言えない。



思わず俯き、膝の上に置いた両手をギュッと握る。




「何してるんです?」


「―――――へ?」




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