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陽だまりの仮面 -嘘-

第11章 手に届くのに・・・・

――――パタン。



部屋に入り、身体を重力に任せるがまま思いっきりベッドへダイブ。


ゴロンと仰向けになり、天蓋窓から見える蒼黒い空を見つめ



「はぁ……」



もう、帰宅して何度目だろうか。

溜息を吐き出す。


天蓋窓から覗く、薄ら群青色の空に1つだけ輝く星を眺めながら

やっぱりそれでも脳裏に浮かぶは


あの女と花木君が見つめあってたシーン。


何でこんなに気になるのか。


それは、きっと今まで花木君が女性と見つめ合うなんてシーンを目にした事が1度もないからだと思う。

あたしが知ってる花木君は

いつも1人で。

いつも見つめてる先にあるモノは、本で。

いつも他人と交わらない一匹狼的な人で。

女子が寄っても一言でサラリと交わす程度の人。


そんな彼が、名指しで彼女の名前を呼び

ほんの少し微笑して見せたあの柔らかい表情。



思い出す度に痛む胸を守るかのように

横向きに体制を変え、胸を抑えながら身体を小さく小さく丸める。






と、その時――――。







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