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陽だまりの仮面 -嘘-

第1章 2面性

いつも。

如何なる時も。

この可愛さで絶対的、男子の視線を総取りだったあたし。

あたしが前へ立つとみんなが絶対見てたのに。

誰1人視線を反らす事なくあたしを見てたのに。



彼……



花木君だけは、別だった。


彼はあたしに一切目もくれず、右手に持ってる本に集中。


休憩時間も、皆がアホみたいに同じ質問を武器に寄ってくるのに、彼は一切寄って来なかった。

次の日も。

その次の日も。

ずっとあたしを見る事なんて1度もなかった。


そんな彼に何だか無性に腹が立って来て。

10年間、誰か1人でも視線を向けられないなんて事がなかったあたしには屈辱的で。



だけど……



そんな彼に、あたしは惹かれた。


在り来たりだろうけれど。

可愛い癖に在り来たりかよって言われちゃうかもだけれど。



そんな彼に、あたしは惹かれた。



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