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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第13章 山茶花~さざんか~ 其の参  

 流石に、曽太郞と二人で過ごしたあの部屋には行きたくなかった。二階の別の一室に入るなり、正次が千汐の帯を性急に解き始める。帯を解きながら、正次が唇を首筋に押し当てた。
 鮮血を思わせる緋色の褥に乱暴に押し倒されたかと思うと、正次がすぐにのしかかってくる。全く幾ら夜鷹が相手とはいえ、情緒も何もあったものではなかった。

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