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「そんなことを言わないで下さいよ、旦那。旦那のような良い男にめぐり逢うことなんぞ滅多とないんだから、ね、寄っていって下さいよ」
　最後の方は言葉にも視線にも媚びを含め、上目遣いに正次を掬い上げるように見る。
　大抵の男であれば、これで容易く陥落した。
「ま、良いか。そうやって隠しておけば、目立たねえしな。おい、事が終わるまで、俺に絶対その疵を見せるなよ、気持ち悪い」
　正次はこれまでとは人が違ったように居丈高に言い放った。