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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第13章 山茶花~さざんか~ 其の参  

「正次、生憎だが、俺は今夜は止めておく。おこんが家で待ってるからな」
 狐男はあっさりそう言った。
「ま、お前はせいぜい一人でゆっくりと朝まで愉しみな」
 男は踵を返すと、さっさと武家屋敷町の方へと消えた。
 これで、どうやら二人の男に交互に抱かれるという最悪の事態だけは避けることができた。
 安堵の想いが胸の内でひろがる。

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