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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第10章 花いかだ 其の参

 頷くと、おれんは、漸くホッとしたように小さな吐息をついた。
「おっと、あんなドタバタ騒ぎがあったから、すっかり忘れちまうところだった」
 弥助はふと思い出して、懐から布に包んだ小さな包みを取り出す。
「これは俺が作ったんだが、良かったら使ってくれねえか」
 おれんは差し出された布包みを受け取ると、丁寧に解(ほど)いてゆく。

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