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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第8章 三つめの恋花  桜いかだ 其の壱 

 それはお世辞でもなく、本音だった。数日前、初めておれんを見た時、弥助は三笠屋の若旦那より二つほど歳だろうと思ったのだから。
「そんなに愕かないで下さいよ。流石にあたしも傷つきますから。弥助さんって、正直なお人なのね」
 悪戯っぽく微笑むおれんを前に、はて、これは賞められているのだろうかと悩んでしまう。
 その間に、おれんがまた、銚子を捧げ持ち、弥助の盃を満たす。

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