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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第8章 三つめの恋花  桜いかだ 其の壱 

 自分で考えても、我ながら情けない父親だと思う。
―それでなくても、難しい年頃だ。
 母親のいない分、父親である自分がしっかりと美空の心を受け止め、理解してやらねばならないと思うのに、理解するどころか、逆に心ない言葉を投げつけ泣かせてしまった。
 男親だけで年頃の娘を育てるのは、やはり無理なのだろうかと考えるのは、こんなときだ。こんなことでは駄目だ、あの世にいるお静に顔向けならない。

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