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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第5章 恋花二つ目~恋紫陽花~壱

「お前さん、今夜は鰻にしたよ。日中は急に暑くなっちまったから、こたえたんじゃないのかい。ま、せいぜい食べて、精をつけておくれよ。お前さんは、毎年、暑さにはすぐにやられちまうから」
 お民がこれは真顔になって言うと、兵助が笑った。
「おうよ。確かになぁ、こう暑くなっちまったら、息が上がっていけねえや」

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