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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第1章 恋花(こいばな)一つ目~春の夢~壱

 清七が瞳に烈しい怒りを込めて怒鳴ると、男の一人が鼻を鳴らす。小柄で丸顔に細い眼は見ようによっては愛敬があるといえなくもないが、悪酔いしているらしく、両の眼が座っている。
「ヘン、こんな夜更けにふらふらと一人でほっつき歩いてる方が悪ィんだよ。まるで、男においで、おいでって自分から誘ってるようじゃねえか」
「何だとォ?」

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