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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第1章 恋花(こいばな)一つ目~春の夢~壱

―おみのォ、おみのォ、お願いだ、もう一度眼を開けてくれ!!
 女房の名を呼びながら、必死でそれこそ狂ったようにおみののか細い身体を揺さぶり続けても、おみのは二度と息を吹き返さなかった。次第に冷たくなってゆく身体をかき抱きながら、紫色になってゆく唇に触れながら、清七は男泣きに身を揉んで泣いた。

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