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やっと、やっと…

第16章 再会、そして



「本当に偶然、仕事の営業があって

後輩と立ち寄ったら唯が居たから


会えて嬉しかった」





智己はあの女の子を後輩だと行った


確かに彼女は智己を先輩と呼んでいた




「会社の後輩??」




「そう、彼女とかではないよ
ただの後輩

俺、彼女いないから」





智己は私の目を見てはっきりと言った





まるで、私に彼女がいない事を
アピールでもしているようだった



その言葉に
モヤモヤしていた気持ちが晴れた




「そっか…、そうだったんだね」




”よかった”と言いそうになるのを抑える





「唯は、彼氏とか、好きな人とか…いるの?」





智己は少し口ごもりながら言う




「彼氏はいないよ、

でもずっと好きな人はいる」





私は智己に気持ちを悟られないよう
少し俯いて答えた




「そうか…、大学の人?」




「違うよ、

…昔から知ってる人」



カクテルを混ぜるようにグラスを回しながら
智己の質問に曖昧に答えた




好きな人を目の前に
こんな話をするのは恥ずかしい


ましてや、8年経っても自分のことをまだ好きだなんて知ったら智己は私を不思議に思うだろうし、嫌がられるかもしれない











「俺もずっと忘れられない人がいる」





少しの沈黙の後、智己がそう言った







ずっと忘れられない人







智己の言葉に私は顔を上げる







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