
やっと、やっと…
第14章 自分を大切にするということ
「でもね、唯・・・・
俺も辛かったんだ」
「え、?」
圭介の声が再び低く強くなる
表情は無い
ただ私を見つめていた
「俺が唯を見ていても
唯はいつも俺をみていないんだ
学校で唯を見かけても
いつも唯は違う人を見てる
ね、唯
いつもだよね
いつもあいつのこと見てるんだよ」
胸が大きくなった
落ちるようにドクンと大きく・・・
「いつも唯は、智己のことを見てた
教室で友達と話している唯も
玄関から校門に向かってくる唯も
いつもあいつのこと探してた
俺はいつも唯のこと見てたんだ」
怖い
この人は怖い
体が震えた
心臓が早くなる
「また、あいつのところに戻りたいの?」
「-っ、違う!」
「じゃあどうして?」
汗がでた、冷たい汗
心臓の音で何も聞こえない
怖い
怖い
「圭介のこと、もう嫌いなの!!!!
怖いの!!!!」
言えた
怖い、もう嫌い
やっと言えた
私は下を向いて大きく肩で息をした
顔を上げて恐る恐る圭介の顔を見る
圭介は
微笑んでいた
